思いかえせば4年前の「311」から一ヶ月後の春に、写真作品の「額装」から「棚」へ展開している。
計画のスケッチの累積が都度そのまま表出形態へ反映してきたわけだが、徐々に地に足を踏ん張って、というより、足に地が染みあがってきたような流れが確かにあった。計画スケッチをはじめた当初、まだ環境の刷新を考えていなかったが、某かの予感と自由を標榜するあまりの浮遊感があり幾分観念が先行し身体性を忘れ、それまでのほぼ十年に渡るシミュレーションの影響をそのまま引きずっていたのは、それで仕方ない。
空間のシミュレーションは云うなれば端末で容易に表出確認が可能なバーチュアルなプラクテスとも位置づけられた。世紀が変わったばかりのそうした時代の黎明期に仕事柄が重なって唯物的なアナログの触感から極端に離れていたことが、逆説的に磁力を目の前の世界の現実感へ引き戻す効果があったと今は考えられる。
wall plan から passage plan を経て、「棚」の解体を繰り返した累積が、揚句のような現在の「組立」へ繋がっている。
付記:90年代前半の立体併置、及び、90年代後半のフランク・ステラへのオマージュとして発想した「ステラン」という立体演習も、ここへ注がれている。