陽光の雪の反射が眩しさを放つ頃は光の中というよりも外側へ撥ね除けられた目つきをしている。そう判ったのは夕方の斜光の裏に伸びた影に冷ややかな色が忍んで光の減少が誘うような新しい「光ノ内」があったからだった。この季節は終日大気は澄み切っているのでそのせいもあるのだろう、一度は溶かされたものが冷えて不細工に硬直して反射する砂鉄のようなものに変わり、ところどころに楔を打ち込むように色彩の境界を標していた。
気が急いて足が深みへ太腿の付け根まで差し込まれ長靴の淵から素足が雪に塗れても歩み進み、獣も踏み入れていない雪原の柔らかい女の軀の曲線のような光と影の交錯を、暫くただ眺めるに任せた。
冷蔵庫の音が消えると無音が締め付けるかの静寂の固まりが空間を充満する部屋に戻り、漆黒の光の反対に灯りも消して瞳を開いている。