落葉拾い

早朝走りながら、おそらくまだ暗いうちに吹き下ろした風の地を這うように通り抜けた形が地面に波形に残っている落葉の加減と場所を記憶した。
走り戻ってから、缶箱と箒を持って、溜まり落ちた針の葉を集めては広葉樹の落葉を除いて箱に入れ、再び記憶の波形を辿って、座り込み繰り返す。獣の体毛かもしれないような儚いものだから一向に箱はいっぱいにならないが、それでよかった。また日を変えて拾えばいい。

浜辺の貝殻拾いと同じだなと、シンクの上の皿にひとつかみ乗せて、落ちてから暫く地と馴染み時間の経過した色の黒いものと落ちたばかりのものを比較すると、やはり落ちたばかりがよろしい。

火をつけて燃やしてしまいたい欲望がぱっと散ったけれども、いずれなと今は我慢する。
ふと鉱物の上に幾度かふりかけて形を探ると、これで酒が呑めるなと感じ入る。